井上省三氏の140回忌の法要を行いました

令和6年12月10日(火)、熱海の海蔵寺で、「日本の毛織物工業の父」として知られる井上省三氏の第140回忌法要が厳かに執り行われました。昨年は雨上がりの曇天でしたが、区切りとなる140回忌はここちのよい晴天でした。

日本羊毛産業協会は、井上省三氏の功績を後世に伝え続けるために、この行事を毎年開催しています。井上氏は、革新と情熱をもって日本の産業界に多大な影響を与えました。その功績は、私たちの生活の中で息づいています。この業界に携わる方にはできれば知っておいていただきたく書き記します。

井上省三氏は1845年、山口県厚狭郡宇津井村(現下関市)に生まれました。若くして木戸孝允と出会い、その後東京へ移住しました。欧州留学では、当初兵学を学ぶつもりでしたが、産業の発展が重要であると考え直し、ドイツで毛織物の技術を学びました。1879年に帰国し、日本初の毛織物工場である千住製絨所を設立し、その初代所長として尽力しました。

井上氏は、軍服や制服などの羊毛製品を国産化するために、陸軍省の管轄下で千住製絨所を運営しました。その革新精神は、民間工場にも広がり、日本の毛織物工業の発展に大きな貢献をしました。42歳という若さで病に倒れ、1886年に逝去しましたが、その功績は今も語り継がれています。千住製絨所の跡地や海蔵寺には、彼の胸像が建てられており、彼の偉業を称えるための場所となっています。

井上省三氏の墓から見える熱海の景色

井上省三氏は、単なる技術者や実業家に留まらず、その情熱とビジョンで多くの人々に影響を与えました。彼の努力と献身のおかげで、日本の毛織物工業は飛躍的な発展を遂げ、現在の産業基盤を築き上げました。彼の人生と業績は、私たちにとって大きな誇りであり、これからも多くの人々にインスピレーションを与え続けるでしょう。