2024年の年頭所感

 

あけましておめでとうございます。

皆様におかれましては、健康でご活躍のこととお慶び申し上げます。

本年も、羊毛産業協会をよろしくお願い申し上げます。

 

昨年を振り返ると、新型コロナウイルスの感染拡大による世界的な

危機からの脱出を目指す一年でした。ワクチンの普及や感染対策の

徹底により、多くの国や地域で経済活動が再開され、景気は回復の

兆しを見せました。

しかし、現在も続くロシアのウクライナ侵攻や最近のパレスチナと

イスラエルとの紛争などで世界が分断され、多くの一般市民の犠牲者

が発生しています。

そしてそれを止められない国際機関の現状をとても憂慮しています。

世界情勢の先行きは大変不透明な状況にあります。

そのような中、日本経済は緩やかな回復があるものの、

紛争による経済の分断、主にエネルギー関係の供給不足による高騰や

金利格差による円安の進行、輸入原料の高騰による物価高騰など、

我々の産業経営は大変厳しい環境にあります。

 

私ども日本羊毛産業協会は、羊毛製品の価値向上と普及に向け、

開発・情報発信を行う羊毛産業の団体であり、日本繊維連盟に加入し

他の繊維業界の各種団体と足並みを揃え経産省やその他の政府機関に

対して繊維業界活性化のための要望や意見を提出する活動を続けています。

 

現在の世界では、環境対策や社会的責任に対する関心が高まっており、

繊維業界もその影響を受けています。

日本羊毛産業協会ではサステナブル委員会を設置し、羊毛の魅力や価値、

未来についての情報発信を行っています。

また、使用済みの羊毛製品を繊維に戻し、再び羊毛製品にすることや、

エネルギーの節約や効率化、再生可能エネルギーの導入などのエネルギー

問題に対する対策、外国人労働者の技能実習生から特定技能への切替の

支援、繊維業界の魅力や将来性をアピールなどの人材確保や育成など、

様々な課題に対応するための取り組みを行っています。

 

また、昨年(2023年)の5月には、京都で国際羊毛IWTO

(インターナショナルウールテキスタイルオーガニゼーション)の総会

が盛況のうちに開催されました。

この総会には、25か国から340名の参加者が集まり、羊毛産業の現状

や課題、展望などについて活発な議論が行われました。

私たちは、この総会を通じて、世界の羊毛産業の仲間との交流や情報交換

を深め、また、日本の羊毛産業の取り組みや成果を紹介することで、

国際的な評価や信頼を高めることができました。

 

これからも日本の羊毛関連産業の結集を推進するとともに、より良い製品作り

を通じて日本及び世界の社会に貢献できるように努めてまいる所存ですので、

本年も、羊毛産業協会の活動にご理解とご協力を賜りますよう、

お願い申し上げます。

皆様のご健康とご多幸をお祈り申し上げます。ありがとうございました。

 

2024年1月1日

日本羊毛産業協会  会長 富田一弥