開催概要
日時:2025年10月30日(木)14:45~15:40会場:名興ビル5F 512号室(名古屋)
2025年度第3回役員会が名古屋にて開催されました。長井会長の挨拶に続き、各委員会から活発な報告と議論が行われ、羊毛産業を取り巻く国内外の重要課題について情報共有と今後の方針確認がなされました。
主な報告事項
1. 羊毛原料・市場動向報告
2024/25シーズンの豪州羊毛価格は堅調に推移しており、円ベースでMICRON 19が1,906円、MICRON 21が1,794円と今季最高値を記録。羊毛相場は堅調に推移しており、トップ在庫が減少している模様。大手中国トップメーカーがフル稼働している状況で、メルボルン市場では細番手から中番手まですべてのレンジで高騰している。日本の羊毛輸入は、2025年1~7月累計で前年比92%の3,612トン。
2. 原料関係の報告
USドル建て豪州羊毛相場の長期推移(1984年以降)を分析。羊毛相場は堅調に推移しており、トップ在庫が減少した模様で、大手中国トップメーカーがフル稼働している状況が確認された。メルボルン市場では、すべてのレンジで高騰しており、細番手と中番手の値差も開いている。
3. サステナブル委員会活動報告
11月14日(金)に東京都立産業貿易センター浜松町館(JFW会場内)にてアパレル向けセミナーを開催予定。経済産業省による情報開示ガイドライン講演、サステナブル委員会による環境的・商業的側面からのウール講演を予定。メインキャッチフレーズは「地球が深呼吸する素材、ウール」。セミナー参加者へは靴下をノベルティとして配布し、会場およびケケン試験認証センターブースにおいてウール訴求のための海洋生分解Tシャツなどを展示予定。
4. 技術委員会報告
(1)欧州での六価クロム規制対応
欧州化学物質庁(ECHA)が六価クロム規制提案を発表。従来認められていた還元方法が認められず、六価クロムそのものの使用が製造工程で禁止される方向。クロム媒染染色は推定40~60%の製品で使用されており、代替が極めて困難。対応方針として、猶予期間の要求、労働者保護対策の強化、IWTO(国際羊毛繊維機構)を通じた国際的な業界統一対応を決定。12月18日の期限までに意見提出準備を進める。(2)繊維製品の環境配慮設計に関する標準化
経済産業省の戦略的国際標準化加速事業として、繊維製品の環境配慮設計に関するJIS及びISO規格の策定が進行中。JIS素案では11の環境配慮設計項目が設定されている。現在、繊維種別の表現統一問題に対応中。12月の分科会が実質的に最後の修正機会となるため、紡績協会と連携して対応する方針。
5. 経理委員会報告
2026年度税制改正要望について、経済産業省及び日本繊維産業連盟を通じて自民党・公明党に提出予定。国税関係12項目(法人税実効税率の引き下げ、投資拡大に向けた税制措置など)、地方税関係4項目(固定資産税の軽減、事業所税の廃止など)。羊産協独自要望として、長期保有土地等に係る事業用資産の買換え特例制度の拡充、繊維原料の輸入に係る関税の引き下げ(新規)などを要望。
6. 繊維産業連盟関係の報告
第155回繊維通商問題委員会(9月3日開催)の内容を報告。2025年6月の日本の繊維貿易は、輸出が円ベースで前年比96.5%と1年振りに前年比減、輸入は104.6%と増加。1~6月累計では輸出104.2%、輸入105.3%で、貿易収支は約1兆8,193億円の入超(前年同期比979億円悪化)。輸入では中国シェアが48.1%と前年比1.7%減、アセアンは32.9%と前年比1.6%増。暫八(関税暫定措置法第8条)制度の延長について、財務省関税局へのヒアリングを実施し、基本的には延長の方向で進んでいる。
7. 日中韓繊維産業協力会議
第12回韓日中繊維産業協力会議が9月23日に釜山で開催され、3カ国が持続可能性の革新、AI転換による産業高度化、サプライチェーンの再構成について協力を深化させることを確認。セッションⅠでは各国の繊維産業の現状と展望、セッションⅡでは産業用繊維の発展動向、持続可能性をめぐる動き、デジタルファッション革新について報告。韓国ファッションテック企業3社によるプレゼンテーションも実施された。次回第13回会議の日本開催が正式に合意された。8. 講演会「ウールの未来を守るための新しい取り組み"ウールマークプラス"について」
講師: ザ・ウールマークカンパニー 西沢智裕氏
時間: 15:40~16:50
時間: 15:40~16:50

今回の役員会では、羊毛市場の堅調な推移が確認される一方で、欧州規制や環境配慮設計の標準化など、業界として対応すべき重要な課題が共有されました。また、役員会、講演会終了後には、名古屋観光ホテルにて中部羊毛産業協会との懇親会を開催いたしました。和やかな雰囲気の中、業界の現状や今後の展望について意見交換が行われ、会員間の親睦を一層深めることができました。


