サステナビリティ、市場動向、そして中国の生産現場
総会2日目以降は、ウールの持続可能性と市場展開に関する議論が活発に行われました。

各国の専門家から羊毛の試験方法・品質仕様の国際標準化について報告があったほか、中国企業からは、AIとデジタルツインを活用したスマートで環境負荷の低いニット生産や、羊毛トレーサビリティプラットフォームなど、デジタル技術による高付加価値化の取り組みが紹介されました。
欧州・米国・豪州・ウルグアイなど各地域から、羊毛生産のイノベーションや認証・トレーサビリティの事例が共有され、持続可能で追跡可能な羊毛供給を国際的に広げていく方向性が確認されました。
最終日のマーケット・インテリジェンスでは、世界の羊毛需給の見通しに加え、急成長する「ウールのウェルネス市場」が注目されました。健康的な加齢(ヘルシーエイジング)や女性の健康への関心の高まり、特にアジア市場での需要拡大が指摘され、科学的根拠を消費者に伝わる形で発信することの重要性が語られました。
総会では2025年度の活動・財務報告や規約事項が承認されました。次回・第96回IWTO総会は、2027年4月に南アフリカ・ステレンボッシュで開催されることが発表されました。
会期初日には、東莞市の紡毛・ニットメーカーおよびアパレルメーカーの見学と、繊維機械の国際展示会(DTC 2026)の視察が行われました。ニット工場では5階建ての建物に多数の編み機が並ぶ大量生産体制を目の当たりにし、工場内の展示場では草木染めなど環境に配慮した製品も数多く見られました。繊維機械展示会は多数の出展企業と来場者で活気にあふれ、機械の実演に加えてロボットを使ったPRも目立つなど、中国市場の力強さを実感する機会となりました。


今回の総会を通じ、ウール業界がサステナビリティ・トレーサビリティ・デジタル技術・健康価値など多面的なアプローチで新たな可能性を広げていることが改めて明確になりました。日本羊毛産業協会としても、これらの国際的な潮流を踏まえ、日本市場における羊毛の価値向上と普及促進に努めてまいります。
